「最適モデリング」セミナー案内 (12/13)

「最適モデリング」セミナー案内 (12/13)

日時: 2016年12月13日(火) 16:00~17:00
場所: 東京大学工学部 14号館 5階 534号室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_15_j.html

講演者: 相島 健助 (東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻)

題目: 逆固有値問題とその数値解法について

概要:
 逆固有値問題とは,指定した固有値とある種の構造をもつ行列を
構成するタイプの逆問題である.近年,様々な数理モデルを与え,
多様な応用例をもつことが認知され,その数値解法が盛んに研究
されている.
 本講演で議論する逆固有値問題は,パラメーター表示される対称行列
のすべての固有値が指定固有値になるように行列を定めるものである.
より具体的に,行列を与えるパラメーターの個数は固有値の数に等しい
とする.これは典型的な逆固有値問題であり応用例も多く,古典的には
Sturm-Liouville 問題の逆問題から生じるもので,長い研究の歴史がある.
この逆固有値問題では,数学的な性質として未知変数と制約の数が
一致しており,一般的な条件下で解が局所的に一意に存在する.
したがって,近似解が得られている場合はニュートン法を採用することが,
一つの標準解法となる.しかしながら,この手法では反復毎に
固有値問題を解く必要が生じるため計算量削減を目指して工夫を
行う必要がある.
 これに対し,講演者はある種の行列方程式に着目することで,
反復中に固有値問題を解く必要のない二次収束の数値解法が
構成できることを発見した.この反復法は,既存の行列指数関数
とケイリー変換に基づく解法に類似するが,それとは異なり,
逆一般化固有値問題に拡張可能なものである.
 本講演では,逆固有値問題とその解法について研究の歴史等も
含めて簡単に説明し,上記の標準的なニュートン法および講演者の
提案手法を紹介する予定である.