「最適モデリング」セミナー案内 (7/3)

「最適モデリング」セミナー案内 (7/3)

日時: 2015年7月3日(金) 17:00–18:00
場所: 東京大学工学部 6号館 3階 セミナー室 AD
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_07_j.html

講演者: 井上正樹 (慶應義塾大学理工学部)
講演題目: 不確かな力学系に対する分岐理論とその展開

講演概要:
分岐理論とロバスト制御理論を融合させる講演者らの取り組みを紹介したい. 力学系分野の一つである分岐理論は,電力ネットワークの突然の不安定化や, 細胞の初期化や分化など,複雑な実現象を説明するために広く利用されている. まず,実システムの中から現象の本質となる部分を抽出し,微分方程式などの 数理モデルで記述する.そして,分岐現象,すなわち,モデルパラメータの 変化により微分方程式の解の構造が劇的に変化することを示すことで,もとの 実システムで何が起きているか定性的に理解するのである.ただ,実システムを 表現する数理モデルには,モデル化誤差などの何らかの不確かさが含まれることは 避けられない.そして,従来の分岐理論は不確かさの存在までを想定したものではない. そのため,実システムにより適合した解析をおこなうためには,モデルの不確かさ までを陽に考慮した理論が必要となる.講演者らは,近年,このための理論として, ロバスト分岐理論を考案してきた.ロバスト制御理論を参考に,不確かさを含む モデルをモデル集合として捉えることで,不確かさの存在下でも分岐現象が生じるか, どの程度の不確かさでも生じるか,といった定性的・定量的な解析が可能となる. 講演では,特に遺伝子発現ネットワーク系の解析や制御問題を例として,ロバスト 分岐理論の概要を紹介する.